双眼鏡を買って、歌舞伎を鑑賞。「廓三番叟」「一條大蔵譚」「棒しばり」。能もそうだけど、歌舞伎も、きれいでめでたくて、邪気をはらう感じがする。気分がすっきりする。平安時代の最高の形容語句は「きよら」で、日本人は作為ではない清明さを尊ぶというのが宣長説だが、分かる気がする。
「一條大蔵譚」の出演は音羽屋が中心。尾上菊之助が演じる吉岡鬼次郎の妻・お京に激萌え。常磐御前はもうちょっと美人な感じでも良かったと思うんだけど。尾上菊五郎のアホ一條大蔵長成も良かったが、イヤホン解説によると(これは必須ですね)、貴族でアホで武家の血筋も引いているという役どころは、なかなか至難なんだとか。
しかしイヤホン解説の仕事っていいよな〜。景気づけに、十二代目市川團十郎團十郎の歌舞伎案内』(PHP新書)を読んでいったのだが、海老蔵も変だが、團十郎も十分変な人で、「光よりも速い乗り物に乗れば初代團十郎と対談できる」とか、銀河系の星の数より人間の細胞のほうがはるかに多いとか、ダイナミックなことをいうので、かなり面白味のある本である。宇宙が好きなんだって。