中村麟子『明治の絵画』(1968)

(22分・35mm・カラー)美学・美術史に造詣が深い中村麟子監督と脚本家・藤原智子による美術映画。長い間現代邦楽をリードした長沢勝俊は、亀井文夫作品をはじめ数多くの記録映画の音楽を手がけた。
’68(日映科学映画製作所)(音)長沢勝俊(監)中村麟子(脚)藤原智子(撮)佐藤登(録)草間善元(解)平光淳之助 (FC)

高橋由一、浅井忠一、青木繁黒田清輝、狩野邦崖、橋本雅邦、横山大観などなど。西洋との衝突で揺すぶられた自意識。他者なるものとの遭遇。
しかしいまや自意識の安定性を揺るがされるのに、他者の介在は必ずしも必要不可欠ではない。他者がいなくたって、自意識はもともと不安定なのだから。脆弱で内閉的な自己愛的自己の一歩外側に踏み出してみれば、多少のクッションはあるにしても、そこはじつは他者だらけ。「ごっこ」の時代は完全に終わった。同時に自己を掘り下げることがそのまま世界的表現となりうる。