ビデオニュース、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)の解説。
http://www.videonews.com/interviews/001999/001761.php
広島の原爆で燃えたウランは800グラムだが、100万キロワットで稼働する原発一基では3キログラムのウランが燃料とされている(発生したエネルギーのうち、3分の1だけが電気とされるというシステム)。現状は炉心の一部溶融で、水の散布で冷却を試みている。
スリーマイルでは45%の炉心が溶融し、溶融物が下部にたまった状態になった。しかしスリーマイルでは冷却のための電気系統、ポンプが使用できたので、状況の悪さはスリーマイルを超えている。報道ではスリーマイル以下の「レベル4」とされているが、明らかにそれ以上の危機的状況(フランスでは「レベル6」と報道)。
炉心(燃料)のメルトダウンが最悪の事態。その場合、何が考えられるか?まず炉心がとけると、圧力容器の下に溶融物がたまっていく。そこに水が残っていると水蒸気爆発が起こり、圧力容器が破損される。圧力容器は鋼鉄製なので1500度で溶けてしまい、水蒸気爆発が起こらなくても2800度の溶融物がたまると、必然的に圧力容器の底が抜け落ちる。圧力容器の下には格納器というのがあるが、その格納器に水がたまっていたとしたら、やはり水蒸気爆発がおこる。(放射能が飛び散る。)
チェルノブイリは「レベル7」だった。しかし福島原発は複数同時多発的である点で、非常に懸念される。チェルノブイリは100万キロワットだったが、1〜3号機をあわせると福島は200万キロワットになるので、同時にメルトダウンすると単純に被害は2倍。放射能が外部にもれると、チェルノブイリを超える。
完全なメルトダウンが起こったときの影響。首都圏への影響は風向きによって変わる。現在、放射線量について報道されているが、すでに東京にも飛んできている。だから東京にもくる(きっとくる)。また、放射線放射能物質は異なる。放射能物質が拡散すると、福島からの距離とは無関係に、物質から放射能が放出されつづける。
東京は250キロ離れているが、チェルノブイリでは200〜300キロ地点でもものすごい汚染地帯が見つかった。この場合、「どこで雨が降るか?」が決定的となる。現状では、福島の住民もいずれ帰ることができるのではないかと思うが、事態が悪化したなら、チェルノブイリのように立ち入り禁止となるかもしれない。