村山斉『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』(幻冬舎新書)。半分くらいまで読み進めて、物理学の世界はすごいなぁと感動しきりなのだが、どんなことが書いてあったかを正確にまとめる力量が自分にはない。しかし宇宙は不思議である。
たとえば宇宙は137億年前に誕生したらしくて、誕生後2億年間は光がなかったので、135億年分の宇宙の広がりについては「光」で確認することが原理的に可能なのだが、その確認された宇宙というのは、たとえば月が1.3秒前、太陽が8.3分前、アンドロメダ銀河が230万年前の「光」であることからも分かるように「古い宇宙」なのであって、アンドロメダ銀河を望遠鏡で見ていて、もし宇宙人がいたら、それは230万年前の宇宙人の姿だから、今頃どんな進化を遂げているか分かったものではない。
で、2億年前以前の宇宙の場合、「光」ではなく「電波」によってある程度のことがわかるそうだが、それでも宇宙誕生後38万年までは宇宙が熱すぎて、原子核や電子がバラバラに飛び交い、光も電磁波も空間を通り抜けることができないので、結局、宇宙は(電波によっても)「見えない」のであるが、とはいえ、その始原的宇宙を観察する方法がじつは残されていて、それが「素粒子物理学」という学問分野であるという。
素粒子物理学では、原子のような形を取る以前の素粒子が高エネルギー状態で飛び交っているさまが研究されるのだが、たとえば欧州原子核研究機構(CERN)では衝突型円形加速器「LHC(Large Hadron Collider)」という一周27キロメートル(山の手線が一周34.5キロメートル)という実験装置を作っていて、ここでは7兆ボルトの電圧で陽子を衝突させている。宇宙はもともと軽い元素から出来ていて、まず誕生後1分で水素、ヘリウム、リチウムが生成されたが、たとえば太陽が水素の核融合反応でヘリウムを生み出し、水素を反応しつくしたら次にヘリウムが燃やされ始め(45億年先、太陽は地球を飲み込むまでに膨張する)、そうなると原子番号26(鉄)くらいまでの元素が誕生するらしいのだが、こういった星の核融合反応、および超新星爆発などで、宇宙には92までの元素が拡散した結果われわれ人間がいる、といったような、とにかくそういう宇宙生成プロセスの知識と素粒子物理学とが「ウロボロスの蛇」のようにつながっているというのだから、不可思議きわまりない話である。ニュートリノをつかまえたスーパーカミオカンデも有名。
で、宇宙が見えないし、見えても「古い宇宙」が確認できるだけ、というなかで、その宇宙が膨張しており、いや実は「加速している」のだ、みたいな話は、半分までをざっと読んだだけでは、ぜんぜん分からない。時間軸みたいなのが素朴には想定できないようなので、かなり難しそうだ。万物の根源は原子(素粒子)?宇宙ってなに?

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)