■
岩田規久男『金融入門 新版』(岩波新書)。金融緩和をすると円安になるメカニズムは、貨幣数量説的には「オカネの価値が下がるから」で説明終わりなのだが、詳細は以下の通りである。
…金融政策は為替レートにも影響を及ぼす。たとえば、日銀貸出の増加や国債の買いオペレーションによって、長期金利である国債の金利が下がるとしよう。日本の国債金利が低下すると、今までよりも、米国国債に投資することが有利になる。そこで、日本国債を持っている投資家の中には、それを売って、米国国債に乗り換えようとする者が現れるであろう。この場合、投資家は証券会社を通じて日本国債を売って米国国債を買うが、その時、証券会社は日本国債を売って得た円で、ドルを購入し、そのドルで米国国債を購入し、それを投資家に渡すことになる。この取引においては、円が売られて、ドルが買われている。そのため、円はドルに対して安くなる。すなわち、円・ドルレートは円安・ドル高に変化する。
円安・ドル高が定着すると、日本の輸出は有利になり、輸入は不利になる。そのため、日本の輸出産業と日本国内で輸入財(輸入される者)と競争している輸入競争産業とは、ともに生産を拡大しようとする。その結果、国内総生産と雇用が増大し、景気が拡大する。あるいは、生産能力に限界がある場合には、インフレが起きる。(219−220)
当たり前すぎて、突っ込みようがないが、当たり前のことを当たり前だという勇気が必要である(笑)。その勇気がない者はうんこはうんこでも、下痢便以下だ。
譲渡性定期預金(CD)が「金利が規制された定期預金よりも金利の高い債権現先が出現し、事業法人などの大口資金が銀行から証券会社に流出したため」(95)、1979年、銀行が大蔵省に頼んで認可されたものだというのは知らなかった。
- 作者: 岩田規久男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1999/09/20
- メディア: 新書
- 購入: 7人 クリック: 129回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
- 作者: 寄藤文平,藤田紘一郎
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2010/11/05
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (8件) を見る