「今年の一冊」的な企画で、藻谷浩介『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』(角川新書)を挙げている人が散見されるのは、嘆かわしいことだ。藻谷氏の立論が、表面的な分かりやすさの一方で、基本的な部分で破綻している事実については、『VOICE』誌の「激突対論!デフレ」企画の記事を読めば、すぐにわかる。藻谷氏の議論は「実感」だけが最大の根拠であって、同誌の安達誠司「やはり辛抱強い金融緩和が重要だ」は、データを挙げて「人口減少デフレ論」を完全に棄却している。そもそも「デフレの原因が人口減少」=「人口減少なのだからインフレにならない」のであれば、中央銀行財政赤字をいくらでもファイナンスすることができるのである。ほんとバカみたいな話だ。

QUIET KENNY

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