小泉堯史『雨あがる』(2000)

(91分・35mm・カラー)武芸の達人でありながら人の良さが出世を妨げている武士とその妻。『まあだだよ』の次回作に予定された「海は見ていた」に続き、黒澤が遺した最後の脚本(未完)を、黒澤映画ゆかりのスタッフ・キャストが結集して映画化。長く黒澤の助監督を務めた小泉堯史の監督第1作となった。ヴェネチア国際映画祭緑の獅子賞を受賞。
2000(「雨あがる」製作委員会)(監)小泉堯史(原)山本周五郎(脚)黒澤明(撮)上田正治(美)村木与四郎(音)佐藤勝(出)寺尾聰宮崎美子三船史郎壇ふみ、井川比佐志、吉岡秀隆、加藤隆之、原田美枝子松村達雄仲代達矢 (FC)

短編小説的な妙味があって良かったけど、寺尾聡、宮崎美子吉岡秀隆壇ふみ松村達雄…という面々が、演者としてはユルいと思うんだよね。黒澤の晩年の作品にこういうユルさを肯定する部分があったのは確かだろうと思うが、その一方で、「武士というものは…」とか「人間というものは…」と作中人物が説教をはじめるのには、少し違和感が残った。あとサスペンスの持続のさせ方が気持ち良くない。