いちおう「映画鑑賞・読書」が趣味なので、本を集めるのが好きなのだが、あんまり過剰なのもアレだし、一日平均1000円程度を目安にしているのだが、厳密にはほとんど守れていない。今日も8000円くらい使ってしまった。あと7日は本を買えない計算になるが、こういうときには「本を売る」という裏技がある。
最近読んだ本のメモ。P・Berger『現代人はキリスト教を信じられるか』(教文館)が非常におもしろかった。ニケア信条の章句にあらわれる神学的問題が順番に扱われていて、すいすい読めるし、一般人が神学を学ぶのには格好の本かもしれない。なかでもBergerがインドで葬儀に出くわしたエピソードが中核的な意味を持ち、かつまた興味深いのだが、彼はインドで死が特別のものとして扱われていないことにショックを受ける(死は輪廻転生のなかのひとつの段階にしかすぎない…)。他方で、キリスト教は死の残酷性にあくまでこだわる特徴をもっているわけだ。だからキリスト教徒は、最後の審判において永遠の生を獲得し、死を乗り越えることをもって、救済だと理解する。Berger自身も死の残酷性にかなりこだわり、そうすることでキリスト教へのコミットを表明するのである(だが、それではなぜ神は人間に死を与えるのか、と問いがつづく)。そういえば、ストア派は死を怖れないが、キリストは磔になって「神よ、なぜ私を見捨てたのですか」と叫ぶ、だから生への執着・死への怖れが教義の核心にあるのだ、とか言ってた別の思想家もいたのを思い出した。
あとは君塚直隆『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』(光文社新書)が、「中野京子の二番煎じかよ」と冷淡な感じもありつつ読んでみたのだが、一般読書人の読み物としてとても良く出来ていた。イギリス史ってけっこう問題があって、「フランス革命の1世紀前に市民革命を為し遂げ、議会制度を確立した先進国家」っていうイメージにおそらく自己拘束されている部分があるのだが、そのせいでなんとなくヨーロッパ史のなかにうまく位置づけられない結果を招いているような気がする。この本は、バランス良く大陸の情勢を書き込んでいて、そこがとくに好感度大だった。

肖像画で読み解く イギリス王室の物語 (光文社新書)

肖像画で読み解く イギリス王室の物語 (光文社新書)