吉田喜重『「美の美」シリーズ2』(1974〜77)

(計168分)「美の美」シリーズ(各24分・16mm・カラー・スタンダード・モノラル)
1974年から77年にわたり、テレビ東京系で放映され注目を集めたドキュメンタリー番組。吉田は『戒厳令』の発表後、5年をかけて同シリーズ全133本中94本を製作。演出、構成、ナレーションを担当、こうした美術番組にありがちな、「美しい」という言葉を使うことを自らに禁じ、対象の美術作品を見るという行為そのものを問う。本特集では自選の20本を上映する。
1974−77(製作)日経映画社(演出)(構成)(語り)吉田喜重
スペインの魔術師 ゴヤ−I−
 不吉な宮廷画家の出現
1974(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
スペインの魔術師 ゴヤ−?−
 近代の無秩序は彼とともに始まる
1974(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
スペインの魔術師 ゴヤ−?−
 理性の眠りは怪物を生む
1974(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
ドラクロワ ロマン主義の逆説
 時代に遅れてきた青年
1975(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
ドラクロワ ロマン主義の逆説
 魂の貴族性について
1975(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
聖なるスキャンダル画家 マネ
 オランピアの露出感について
1974(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧
聖なるスキャンダル画家 マネ
 一個の落日 ダンディズム
1974(演出)(構成)(語り)吉田喜重(撮影)Jean Elissalde(音楽)一柳慧

きわめて質の高い睡眠を確保してスッキリ。歴史の語り口が近代主義的で古くさいし、まあこれで美術史について何かが分かった気にはならない。ドラクロワの部分はわりと起きて眺めていた。ドラクロワタレーランの隠し子って、そういえばそんな話を聞いたことがあったなぁ。「〜といえなくもないのである」とか「〜と言うべきなのであろうか」とか、ナレーションがひじょうに安眠誘導的。