ジョアン・セーザル・モンテイロ『ラスト・ダイビング』(1992)

O Último Mergulho (88分・35mm・カラー)死を想い波止場で淋しげにたたずむ青年に、老人が声をかける。実は自分も人生に飽きている。最後に街に繰り出し存分に遊び、それから死ぬことにしようじゃないか…。ネオン煌めく夜のリスボンで繰り広げられる歌と踊り、酒と官能の宴。絶望と引き替えに許された、底抜けに大らかな人間賛歌。
'92(監)(脚)ジョアン・セーザル・モンテイロ(撮)ドミニク・シャピュイ(編)ステファニー・マエ(出)ファビエンヌバーブ、ディニス・ネト・ジョルジ、エンリケ・カント・イ・カストロ、フランセスカ・プランディ、リタ・ブランコ、カタリナ・ロウレンソ

絶望の淵にあって、せめて死ぬ前に女遊びしようって発想は、ラテン系というべきか?(硬派な日活ロマンポルノ?)それって本当に“絶望の淵”ですか??
とにかく映像に魔術的な催眠パワーがこもっているので、ねむたくなくたって寝ちゃうよね。闇の中、裸の女がえんえんサロメを踊ったり、フラミンゴが飛んでいく映像を見せられながら、奇妙な詩の朗読を聞かされたりする(ヘルダーリン?)。
グールドのゴルトベルク(鼻歌付き)が流れるラスト。ゴルトベルクを聴かされると、なんか崇高な芸術を鑑賞したという気分に自動的に襲われてしまうのは、まさにバッハの偉大さである。映像の魅力があるのは分かるけど、無駄に衒学的なのがちょっと気に入らないね(こけおどしなのではないかと思う)。