ななみタンの本って真面目に読んだことはなかったんだけれど、人から薦められて、新しく大活字版で再文庫化された『わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡』(新潮文庫)をパラパラしてみたら、これがなかなか面白い。惣領冬美『チェーザレ』でも重要な伏線とされている「パッツィ家の陰謀」の描写は手に汗握る展開。同じ時、同じ街で、9歳のマキァヴェリ、政庁に吊された刑死体のデッサンを残した26歳のダ・ヴィンチがいた。弟を殺されたロレンツォ・デ・メディチの、その後の奮闘もおもしろい。法王庁(陰謀の当事者)と組んだナポリ王の許へ乗り込み、危ない交渉を乗り切った末に、メフメト2世のイタリア侵攻(旧ビザンチン領イタリアの領有権を主張)という絶妙のタイミングにも救われる(フィレンツェの聖務停止令の解除)。そのロレンツォがなぜ『君主論』で扱われないのか、という謎の提示。話の運びがうまいわ。