篠田正浩『瀬戸内少年野球団』(1984)

(143分・35mm・カラー)作詞家・阿久悠が自らの思い出を描いた同名小説が原作。終戦を淡路島でむかえた野球少年たちの青春が綴られる。小説を読んでいた宮川キャメラマンは、「時代劇のようなコンポジション」で子どもの世界を広々と捉えたいと考えたという。
’84(YOUの会=ヘラルド・エース)(監)篠田正浩(原)阿久悠(脚)田村孟(撮)宮川一夫(美)西岡善信(音)池辺晋一郎(出)夏目雅子郷ひろみ山内圭哉、佐倉しおり、大森嘉之、ちあきなおみ島田紳助三上博史岩下志麻

瀬戸内の情景と人々の暮らしの描写は良いが、長すぎるし、時代の再現にもうすこし繊細であって欲しかった。80年代の映画だけど、昭和のダメさってのが、現れている感じがする。情緒に流されているというか、そもそも情緒だけを描こうとしている限界、というか。ただし夏目雅子は圧倒的に素晴らしく、比類のない美しさで、これだけでも見る価値はある(岩下志麻もきれい)。島田紳助の闖入も、破格だが、面白かった。野球の場面がもっと印象的になると良かったのだが。