五所平之助『煙突の見える場所』(1953)

(108分・35mm・白黒)見る場所によっては4本にも1本にも見える巨大な「お化け煙突」。その下町の象徴を背景に、悲喜こもごもの戦後庶民の暮らしが描かれる。絹代は、戦災で行方不明の夫との籍を残したまま新しい男と生活する臆病な中年女に扮している。ベルリン国際映画祭で国際平和賞を受賞。
’53(スタジオ・エイト・プロ=新東宝)弘子(監)五所平之助(原)椎名麟三(脚)小國英雄(撮)三浦光雄(美)下河原友雄(音)芥川也寸志(出)上原謙高峰秀子芥川比呂志、関千惠子、花井蘭子、坂本武、田中春男(FC)

すごい良かった。お化け煙突の下で暮らす人々の風俗描写がすばらしい。上原謙田中絹代の間借りしている家の二階には、若い高峰秀子ともう一人の男が下宿している。高峰秀子上野広小路町で街頭アナウンス嬢をやっている。田中絹代バツイチの35歳主婦で、上原謙とラブラブモードになりかけるがすぐに邪魔が入って、所帯じみた挙動不審さを見せたりするのがおかしい。戦艦ポチョムキン風の素早い切り返しは、時代がかっていて独特。まあでもやっぱり高峰秀子(仙子ちゃん)が超かわいかったな。同じ部屋で鯛焼きを食ったり、バスに乗って出勤したり、ほんと超かわいい。睡眠時間1時間だったので赤ちゃん騒動のところで少し寝ちゃったけど。