臓器移植法改正案が衆院で可決。臓器移植の場合に限って「人の死」とする現行法から、「人の死」を一律に前提とするA案へ。

A案は脳死が「人の死」であることを前提として、臓器提供の条件について、書面による生前の意思表示と家族の同意を必要としている現行制度を大幅に緩和した。本人意思が不明でも生前の拒否がない限り家族の同意で臓器提供できるよう改める。現行では臓器提供の意思表示ができる年齢を15歳以上としているが、本人意思が不明でも臓器提供が可能になることで年齢制限は撤廃され、乳幼児からの臓器提供が可能となる。また親族への臓器の優先提供についても本人の意思表示ができると定めている。(読売新聞・18日)

常識的に考えて脳死を人の死ととらえることは難しく、臓器提供が進まないのもそのせいだと思われる。乳幼児の臓器移植の促進という功利的目的がとりあえずあるにせよ(臓器移植を望む側にとっては功利的という意味にはとどまらないが)、常識を踏み外した死生観を法律として文面化することには問題がある。一律に「人の死」という規定は乱暴きわまるので、「人の死」の定義問題は現行法どおり避けるべきだろう。