ダニー・レヴィ『わが教え子、ヒトラー』(2007)

MEIN FUEHRER ドイツ映画 ドイツ語 1時間35分 出演: ウルリッヒ・ミューエ/ヘルゲ・シュナイダー/シルヴェスター・グロート/アドリアーナ・アルタラス http://www.cinemacafe.net/official/waga-oshiego/#
敗戦直前、ヒトラーは心身を病み、戦意を高揚させる演説が出来なくなった……わずか数日で再生させるための教師として、ユダヤ人のアドルフ・グリュンバウム教授が選ばれたが……実話から生まれたヒューマン・ドラマ!! (GH)

独裁者ヒトラーが卑小で滑稽な人間でしかなかった、という主張はありふれたものだが、その滑稽さが人間味として伝わってくるところが魅力。「ハイル・ヒトラー」という言葉にこだわった脚本になっており、冒頭、この言葉で思考停止になっていく人々の姿が面白おかしく描かれている。ヒトラーを人でなしと決めつけることは、ユダヤ人を人でないと決めつけたナチスイデオロギーの反復であるにすぎない。卑小と尊大の間を往復する情緒不安定なヒトラーが、逆説的にも、決めつけが生み出す思考の硬直から自由であった、という着眼。っていうか、実話なのか、これ?