森一生『薄桜記』(1959)

(109分・35mm・カラー)高田の馬場の決闘で名を挙げ浅野家の家臣となった中山安兵衛と、片腕を失い市井の浪人となるも吉良家に迎えられた丹下典膳。赤穂浪士の討ち入りを背景に、立場を異にしながらも深い絆で結ばれた二人の剣豪を勝新太郎市川雷蔵が演じる。雪の降る七面山に繰り広げられる壮絶な剣戟シーンの美しさは伝説的。
'59(大映京都)(監)森一生(原)五味康祐(脚)伊藤大輔(撮)本多省三(美)太田誠一(音)斎藤一郎(出)市川雷蔵勝新太郎、真城千都世、三田登喜子、大和七海路、北原義郎、島田竜三、千葉敏郎、舟木洋一、伊沢一郎、須賀不二男、清水元、寺島雄作、加茂良子、浅野寿々子、浜世津子、香川良介 (FC)

春日太一『天才 勝新太郎』(文春新書)では、長谷川一夫の物真似から出発して、役者として開眼しはじめた時期の作品として言及されている。前半は雷蔵と互角。しかし後半は雷蔵である。脚本レベルで話がかったるいけれど、後半の冴えはすばらしい。片腕と片足で雪のなかを這いずり回りながら、凄まじい斬り合いを見せる。大映京都の様式美。