カリン・アルブー『リトル・エルサレム』(2005)

LA PETITE JÉRUSALEM (98分・35mm・カラー)多数のイスラエル移民が居住するパリ郊外の「リトル・エルサレム」が舞台。ユダヤ人コミュニティで厳格に育てられた少女が自我に目覚めてゆく様子を、みずみずしく捉えた作品。カンヌ国際映画祭批評家週間で内田けんじ監督の『運命じゃない人』(2005年)とともにフランス作家協会賞を受賞した。
2005(監)(脚)カリン・アルブー(撮)ローラン・ブリュネ(美)ニコラ・ドゥ・ボワスキュイエ(音)シリル・モラン(出)ファニー・ヴァレット、エルザ・ジルベルスタイン、ブリュノ・トデスキーニ

パリの郊外にサルセルという街があって、ここが舞台。古い集合住宅のマンション群が並んでいて、ユダヤ人やイスラーム教徒などが住んでいる。主人公はチュニジアからの移民2世で、母と姉夫婦と一緒に暮らしながら、大学で哲学を勉強している。プラトンやカントについて議論し、カントに倣って夜の散歩を日課としているのだが、彼女が哲学を勉強しているのは、ユダヤ教コミュニティや母親らが信じている民間宗教っぽい信仰(もしかしたらユダヤ教の習俗なのかもしれないが…)から距離を取るためであって、彼女は「家」と「家を超える広い世界」の間で両義的な思いを抱えて生きているのである。そんな主人公の女性がスーフィーイスラム教徒の青年と恋に落ちるのだが、同時に姉夫婦の「夜の生活」の問題が重なって、映画はなんだか分からない世界に突入していく(←まとめ、適当)。
思わず寝てしまったところがあって、よくわからない映画だったが、アフリカを故郷とするユダヤ教徒のディープな世界が映し出されているように思われ、またユダヤ教の戒律とセックスの問題なんかも取り上げられていたので、不思議な感じでそこは良かった。