デヴィッド・フィンチャー『ソーシャル・ネットワーク』(2011)

出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィルド、ジャスティン・ティンバーレイク ほか
2003年、ハーバード大学に通う19歳の学生マーク・ザッカーバーグは、親友のエドゥアルド・サヴェリンとともにある計画を立てる。それは、大学内で友達を増やすため、大学内の出来事を自由に語りあえるサイトを作ろうというもの。二人で始めたこの小さな計画は、瞬く間に大学生たちの間に広がり、ナップスター創設者のショーン・パーカーとの出会いを経て、ついには社会現象を巻き起こすほどの巨大サイトへと一気に成長を遂げる。一躍時代の寵児となった彼らは、若くして億万長者へと成り上がっていくのだが、その裏ではカネ、女、そして裏切りの渦に巻き込まれ、最初の理想とは大きくかけ離れた場所にいる自分たちに愕然とする――。(WALD9)

facebook創設者、マーク・ザッカーバーグの話。アメリカの大学の社交クラブの様子が分かって、面白い。クラブに入会するのに面倒なセレクションがあったり、クラブの威信が人間関係を規定したり、とにかく自己アピール競争に余念がなく、馬鹿みたいなパーティーをやって葉っぱを吸ったりセックスをしたりしながら、でもそういうことが最終的には社会資本につながっていくことを誰もが知っている。ま、一言でいうと、嫌な人たちだ。
そこに友達が3人しかいないマーク・ザッカーバーグが現れるのだが、彼は日本のオタクみたいに草食系ではなく、超アグレッシヴな肉食系コンピューター・オタクであり、彼女に振られたのに腹を立てて「自分もすごいんだぞ」とプログラミングおよびハッキングの知識を駆使し、ハーバード内で有名人になる。「リアルな関係をネットに移し替えるんだ!」とか言って、そうこうするうちにフェイスブックが誕生する。〈出会い系機能を持つ“クールな”SNS〉というコンセプトが受けて、これがすぐに大流行する。
一応、表向きのストーリーは、「フェイスブックで友達を作りたかっただけなのに、結局ケンカだの裁判沙汰だので、巨額の利益と引き換えに、友達がいなくなっちゃって悲しい」みたいなことなのだが、実際に見てみると、そういう話ではないことが分かる。ザッカーバーグは基本的に共感能力に欠けている人なので、別れた恋人に執着してはいるが、別に友達と訴訟をしたくらいで、どうこう思っているわけではない。行動原理のアルゴリズムは超単純であり、最初から最後まで(トラブルを増やしながら)やりたいことをやりたいふうにやっているだけだ。
こんなキャラクターを関心の対象に据える監督の考えは、正直言って謎な部分もあるが、「くだらない作品だ」という感じを受けないのも確かであって、それは今の社会がこういうリアリティ(=madなテクノクラート?)を増しつつあることと関係しているかもしれない。ジョン・レノンが“Baby you're a rich man too.”と歌うのを聞くと、「結局カネでぜんぶ解決するよね」的な辛辣な皮肉にも聞こえるし、変な映画であることは間違いない。