朝日新聞に阪大の小野善康氏の論説が載っていたのだが、読んでいるうちにムカムカと腹が立ってきた。曰く、1)法人税減税の経済効果は立証されていない、2)だから実質的に国民負担が前提の措置である、3)法人税減税が企業の海外流出防止策となるとの議論もあるが、企業が海外流出すると経常収支が悪化するので、円安となって国内輸出企業はむしろ振興する、4)ゆえに法人税減税は「企業を優遇するからそのぶん雇用を拡大の責務を担ってね」というメッセージである、という内容(記憶で書いているけど、たぶん正確)。
アホか。(←改行に怒りを込めている)
4)に注目してもらいたいのだが、このメッセージは経済原則を何ら前提としないものであり、単なる精神論にすぎない。経済政策は経済原則をふまえるから「経済政策」なのであって、経済学者ふぜいが精神論で政策を立案するようになったら、この世もおしまいである。企業が雇用を拡大させるインセンティヴとしては、どう見たって、弱すぎる(普通に考えれば「仕事が増えるから雇用を増やす」のが自然)。ほんと、ふざけている。
某哲学者の本を読んでたら、Proustの“Remembrance of Things Past”とあったので「??『失われた時を求めて』?」と思ったのだが、どうも英語圏ではこの“Remembrance 〜”と“In Search of Lost Time”との二つの訳があるらしい。もちろん原題は“À la recherche du temps perdu”なのだから、邦題と“In Search 〜”のほうが素直な訳なわけだが、どういうことなのだろうか? 光文社古典新訳文庫岩波文庫の同時翻訳進行中で話題だが、岩波のを見てみたら、図版満載でいい感じだった。読了しないのを前提に造本する、ぐらいでいいと思うんだけど。