黒澤明『用心棒』(1961)
(110分・35mm・白黒)二つのやくざ組織が支配する宿場町にふらりと現れた一人の浪人の活躍を描き、マカロニ・ウェスタンの源流ともなった黒澤プロの第2作。型破りなヒーローを演じた三船敏郎はヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。有名な「三十郎のテーマ」の元になったのは「記録映画に、佐藤(勝)がつけた音楽でね、ブルドーザーが動いているところに入る曲なんだ」。
'61(黒沢プロ=東宝)(監)(脚)黒澤明(脚)菊島隆三(撮)宮川一夫(美)村木与四郎(音)佐藤勝(出)三船敏郎、仲代達矢、司葉子、山田五十鈴、加東大介、河津清三郎、志村喬、太刀川寛、夏木陽介、東野英治郎、藤原釜足 (FC)
やっぱりめちゃくちゃ面白い。三船はもちろんのこと、ニッカツ風の仲代達矢、妖艶&怪異な山田五十鈴、白痴男を演じた加東大介など、すばらしい。音楽も現代音楽風だし、チャンバラ映画としても画期的な試みがなされている。ただし、登場人物にきわめて理念的な造型がなされている黒澤映画においては、格好良すぎるうえに(「あばよ!」)ヒューマニスティックな「三十郎」は、頽廃への一歩を感じさせないでもない要素を含んでいる。高次の理念の設定が抑圧へと転化する臨界点というような…。