トラン・アン・ユン『ノルウェイの森』(2010)

‎134分‎‎ PG-12 出演者: 水原希子霧島れいか初音映莉子松山ケンイチ玉山鉄二菊地凛子高良健吾
'87年に刊行され記録的なベストセラーとなった村上春樹の同名小説を、ベトナム出身のトラン・アン・ユン監督が映画化。ドイツ行きの機内で“ノルウェイの森“という曲を耳にしたワタナベは、18年前に恋に落ちた直子のことを思い出す。彼女は、突然自殺した親友のキズキの恋人だった……。主人公のワタナベを松山ケンイチ、直子を菊池凛子が演じる。

ひどい大失敗作。ギャグ映画として見ればけっこう笑える。松山ケンイチのセリフの棒読みがあまりにひどくて、「関西人ですけど標準語の発音教えてあげましょうか?もし君さえ良ければ。やれやれ」という気分だった。監督がベトナム人だから、棒読みなのが分からなかったんだろう。「とても好きだよ」「とても似合っているよ」「できればそうでありたいと思っているよ」「勃起してるかということなら、してるよ、もちろん」とか。

「今固くなってる?」
「足の裏のこと?」
「馬鹿ねえ」とくすくす笑いながら直子は言った。
「勃起してるかということなら、してるよ、もちろん」
「ねえ、そのもちろんって言うのやめてくれる?」
「いいよ、やめる」と僕は言った。
「そういうのってつらい?」
「何が?」
「固くなってることが」
「つらい?」と僕は訊きかえした。
「つまり、その……苦しいかっていうこと」
「考えようによってはね」
「出してあげようか?」
「手で?」
「そう」と直子は言った。

これ、わりとそのまま出てくるんだけど、松山ケンイチのせいだけにするのは可哀想かもしれないと、いま思った。セリフとして読むと、誰が読んだって馬鹿みたいな会話になっちゃうよね。そもそもが。
菊地凛子は化け猫の役をやるといいと思う。正真正銘の(ただの)メンヘラーなので、どんな事情があったにせよ、まともに取り合うレベルを超えている。演技力あるわー(見てて怖い)。あと、散歩の速度が異常にはやくて、ふざけてるのかと思った。
脚本はひどい、主題は時代遅れ。これで松山ケンイチがパスタを茹で始めたら、ギャグとしてはカンペキになったはず。ある意味、一見の価値があるかも。