バッハ「ミサ曲ロ短調」、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 指揮:ニコラウス・アーノンクール、合唱:アーノルト・シェーンベルク合唱団、独奏・独唱:ドロテア・レッシュマン(S) / ベルナルダ・フィンク(A) / ミヒャエル・シャーデ(T) / フローリアン・ベッシュ(Bs)

アーノンクールの顔は音楽家というより、政治家か軍人の雰囲気を漂わせている(ビスマルク??) まったく笑わないし表情を崩さないので、これぞ偏屈という印象を受ける。
古楽の演奏というのは始めて聞いたが、ものすごく質朴な音で、少なくとも「流麗」というのとは正反対。宮廷の王の前で奏でられる祝祭曲のような、独特の乾いた明るい音色なども聴けて、でもロ短調ミサ曲ってそういう曲なんだろうなぁと、勝手に納得する部分もあった。教会音楽というよりは、いろんな音楽様式をごちゃまぜにして、ひとつの世界を表現している感じ。ホルンの音が出しにくそうだったり、全体的に素朴な音になってしまうところは、逆に「生々しい実存的表出」みたいな近代的表現を遠ざけるように働くのか、地に足のついた着実な演奏によって、知的構築をつうじた覚醒を促す感がなくもなかった(ヨーロッパのローカル性から出発するって感じか?)。それでもキリストの磔刑と復活を歌う第16〜18曲などは、やはり宗教的な超越性が濃厚な気配だったが。25〜27曲の流れも。
とにかく、CDだけを聴いてるとよく分からない部分が、きちんと説明された感じがあって、非常に満足した。20年前に録音されたCDが再発されたらしいが、今回のバージョンで再録音しないのかな??
大学のときに同じクラスだった女性を見かけたような気がしたんだけど、名前が思い出せず。名前に「寺」が入ってたような記憶も。仕事で来てたのかもしれない。

http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY201010160140.html
http://wmg.jp/classic/artist/harnoncourt/index.html