吉田喜重『女のみづうみ』(1966)

(102分・35mm・モノクロームシネマスコープ・モノラル)川端康成の小説を映画化した独立プロダクション・現代映画社の第1回作品。若い愛人に自分の裸体を撮影させた人妻が、そのフィルムを奪われ、見知らぬ男の脅迫を受けるようになる。石川県の片山津温泉から奥能登にかけてロケーションを行い、独立後の吉田作品を特徴づけるロードムービー的な演出の発端となった作品である。
1966(製作)現代映画社(監督)(脚本)吉田喜重(脚本)石堂淑朗大野靖子(原作)川端康成(撮影)鈴木達夫(美術)平田逸郎(音楽)池野成(出演)岡田茉莉子露口茂芦田伸介、早川保、夏圭子、益田綋子、益田愛子、梅津栄 (FC)

あいかわらず画面が凝ってるし、かっこいい。最初、「これはああ、大島渚とか黒木和雄のATG時代とかみたいな〈不条理意味分からない系〉の雰囲気だな」と予感したのだが、すぐに「人妻のヌード写真がぬすまれて、代々木ゼミナールの講師の男から強迫される」という分かりやすいストーリーが提示されて、ほっと一息をついたんだけど、それは甘くて、やっぱり意味分からない系だった。まあ寝るしかないよね。いや、最初の方の、男に付けられて鞄を奪われるシークェンスとか、ほんと格好いいんだけど。ふつうに楽しめる作品をめざせばいいじゃん、と一般庶民の感覚としては(笑)思うよね。