ロネ・シェルフィグ『17歳の肖像』(2008)

AN EDUCATION イギリス映画 英語 100分 PG-12 出演: キャリー・マリガンピーター・サースガード、アルフレッド・モリーhttp://17-sai.jp
1961年ロンドン。名門大学をめざす優等生ジェニーは、ある日、歳の離れた中年男性に出会い恋に落ちた。大人たちの世界を背伸びして夢心地で泳ぐ少女が痛みと喪失を経験する、大人になるための通過儀礼を描いた成長記。(GH)

「学校なんて退屈でしょ、ボクが違う世界を見せてあげるよ」なんて言われて、フランスに恋い焦がれる美人優等生ジェニーは、ユダヤ人の中年紳士にコロっといかれてしまう。ジェニーがラテン語が苦手なのに象徴されるとおり、オックスフォードをめざして学校でコツコツ勉強することに(「オックスフォードに合格する」ということ以上の)明確な効用は見出されない。一方、恋人は、自分の美しさを見出してくれた上に、パリ旅行だの、おしゃれだの、消費社会の快楽を味わわせてくれる。ジェニーは頭が良いだけに、「勉強する必要なんてないじゃん」と思ってしまうのである。
ここからジェニーへのお説教(EDUCATION)が始まるのが、この映画の不思議なところである。ジェニーが愚かにも足を踏み入れた新しい世界は、資本主義的効用の世界、交換可能性の世界、さらには強欲ユダヤ人たちの世界である(しかもユダヤ人はベッドルームで幼児語をしゃべり出すソフト変態なのだ)。本当の世界は、保守的と言われようとも、交換不可能であり、古典的であり、質素だが趣味の良さの保たれた、そういう世界なのである。キャリー・マリガン(ジェニー)は、関根麻里をベースに、加藤ローサを足した感じ。