回顧してみると、自分の自我形成の途上において、特徴的だったことのひとつは、「自分の不安を他人に癒してもらいたい」というタイプの人間に、まったく出会わなかったことだ。オレはできる、一目置かれている、天才かもしれない(むしろ天才だ)、失敗してもそれは個性だ、勝負にはなぜか勝ってしまう、自然と人から好かれる、と豪語し体現する人たちに囲まれて人格形成してきた。これを「歪み」ととらえるか、「すくすく育った」ととらえるかは、或いは微妙かもしれない。親は自信まんまん、中高は男子校だったから、そうなったのか。不安は自己解消するか、存在しないものとして振る舞うのが、当然。押しの強い親のせいで若干ひねくれたが、基本はそうだ。