野口博志『拳銃無頼帖 抜き射ちの竜』(1960)

(85分・35mm・カラー) 原作→城戸禮「日本拳銃無宿」昭和30年代に底辺読者層向けの娯楽読物として流通した貸本小説は、大衆娯楽映画と重なり合う世界だった。中でも城戸禮の作品には日活アクション映画に通じる要素が多い。「日本拳銃無宿」の主人公「抜き射ち竜」は映画のヒットで、後年の版では映画に合わせて「の」を入れている。
'60(日活)(監)野口博志(脚)山崎巖(撮)永塚一栄(美)大鶴泰弘(音)山本直純(出)赤木圭一郎宍戸錠、淺丘ルリ子、香月美奈子、沢本忠雄、草薙幸二郎、菅井一郎、西村晃、二本柳寛、高品格、藤村有弘、黒田剛、長弘天草四郎 (FC)

日活だね。昭和系コスモポリタニズム。右肩は撃っても心臓は狙わない「抜き打ちの竜」と、温情を排したプロの殺し屋(宍戸錠)。ライバル同士の友情に日米関係を読み込むのは、野暮な精神分析か。でもそんなことはどうでもよくて、昭和35年だったら浅丘ルリ子がかわいいに違いない、と思って見にいったのである。果たして、萌え萌えなのであった。「君は僕には清潔すぎる」「私、ぜんぜん清潔じゃないわ」。