餃子の王将」の人気が急上昇しているようで、これは不思議な感じがする。自分が子どもの頃は、王将にいくとまず家族全員でテーブルの取り皿の油を拭き取る作業をおこない、ベトベトの油とケミカルな味付けに闘いを挑むように、とにかく大量に注文する、という感じであった。食い終わったら、「餃子は美味いけど、いつ来ても、後味が妙な感じやわ。でも忘れたらまた来てまうねんな」などと口々に言い合ったものである。しかし考えてみれば、人間たるもの、いつでもナチュラル志向・健康志向ではいけないのであって、たまには反自然のカオスに身体を攪乱されることも必要であるに違いない。上京した当初、「下北にも餃子の王将がある」などと感動したりしていたが、人気を得ても、ケミカルな先鋭さを見失わないでいて欲しい。などと勝手に言ってはいるが、それにつきあうのは年々厳しくなっているわけだけれど。そもそも「年々」も行ってないし。
ささいなことだが、しみじみ感じられることがあって、今日は良い一日だった。