頭の中を「ラストエンペラー」がグルグル。なんでだろう。しかし中国史だとやっぱり清朝が好きだな。中国王朝の盛衰は、秘密結社のネットワークによってダイナミズムを与えられ、武装蜂起する反乱集団は、暴利を貪る塩の専売制の間隙を突き、闇商人となって暗躍を始める。この法則を指摘したのは宮崎市定であるが、こうした「法則」が成立するほどに、中国の王朝交替史観は単調だったとも見なしうる。でも、清朝はちょっと違っている。西欧列強というまったく異質な文化体系と衝突して、中国文明は、清朝とともに頽廃し没落した。もう決して同じようには復活しない何かが決定的に失われていくことへの感慨が、清朝には感じられなくもない。たとえ女真族でも。阿片を吸いながら纏足の匂いを嗅いでいるような、変態的で気怠いイメージ。
http://www.youtube.com/watch?v=y7ySKae1p4A&feature=related
岡田暁生『音楽の聴き方』(中公新書)。音楽と言葉の関係から、音楽そのものの本質へと迫っていく、かなり骨太な内容で面白い。「いきなり握手するのではなく、まず相手の産毛に振れてから肌に到達する感じで」(クライバー)。「名指揮者のリハーサル演奏語録」って本を書いたら、けっこう売れるんじゃないか。というか、欲しい。