ポール・クルーグマンクルーグマン教授の〈ニッポン〉経済入門』(春秋社、山形浩生訳・解説)。日本経済の課題は「流動性の罠」をいかに乗り越えるか、という点にある。いくつかの想定される反論にもかかわらず、「流動性の罠」は理論的に成立している。ゼロ金利に近い状況で景気刺激をおこなうためには、金利をこれ以上下げられないのだから、実質的なマイナス金利状況を導くインフレ政策しかない。要するに「インフレ期待」を生み出すことが課題となる。このとき「財政拡大政策」では乗数効果が働かず、「インフレ期待」こそが有効な政策であることがポイント(当然ながら「金融緩和政策」は「流動性の罠」の定義上、無効)。ここらへんはちょっとテクニカルな議論を含むが、まあそういうことらしい。