藤田敏八『帰らざる日々』(1978)

主演:江藤潤、永島敏行、浅野真弓、竹田かほり、根岸とし江吉行和子、草薙幸二郎、小松方正中尾彬朝丘雪路中村敦夫
キャバレーのボーイとして働く作家志望の辰雄。父親の訃報を受け帰郷する列車の中で、彼は6年前の高校時代を回想する…。1972年と78年。ふたつの夏が交差するスタイルで、青春の悩みと葛藤を描き出す青春映画の名作。アリスによる主題歌「帰らざる日々」が、ノスタルジーをさらに高める。(CV)

青春、それは死語。瓦礫の山を眺める、歴史の天使のような気分。アリスの主題歌自体、なかばギャグだが、それはそれとして、なかなかの佳作。若干あざといが、田中角栄の総理就任、マキノの仁侠映画(『昭和残俠伝 死んで貰います』)、巨人戦の放送なども。
主人公(永島)がライバルといつのまにか親友になったり、惚れた年上の女がヤクザ(中尾彬)と付き合っているのを知ってショックを受けたり、中学時代の同級生(竹田かほり)と酒のいきおいでヤッちゃったり、いろいろ大変な思いをする。三角関係にヤクザ、というのがすごい。エリクソンの青年期概念は、歴史化&失効した?