なんとなく出るかなと思っていたら、柄谷『トランスクリティーク』が岩波現代文庫で来年、出版予定とのこと。機会があったら読んで見よう。
渋谷のブックファーストがあった場所の服屋に入ってみる。一週間足らずで片一方を無くした手袋を二組299円で購入。一組だと150円、片一方が75円。すさまじいデフレぶり。ウォーラーステイン流に言うと、資本主義(中心)は、国民国家間(帝国主義)および国民国家内部(都市/農村、企業労働/家事労働)に非資本主義的な領域(周辺)を配置し、そのシステム間の差異から収奪を図ってきたわけだが、それも行き着くところまで行き着いた感がある。グローバルな労働市場国民国家間の中心−周辺構造を見えにくくさせたし、国民国家内部でも資本の論理は、個人化と相補的に貫徹しつつあるように思える。そのなかで収奪構造の前提となるシステム間差異は、主観的に納得しやすい分断線(地理的境界や私的領域/公的領域の分断線)ではなく、恣意的な分断線によって(ある意味人工的な形で)創出がはかられるようになってきた。格差問題がそう言えるかどうかは微妙だとしても、サブプライム問題は数字上のトリックにもとづく未来への先送りというかたちで、時間的差異にもとづくシステム間差異の創出を図ったものと言える。資本主義が墓堀り人に掘らせているのが、資本主義自身の墓穴とならないよう、ケインズ主義に代わる延命戦略を見出さないといけない。
HMVにふらっと入って、Bill Evans“From Left to Right”を買ってしまう。ワーグナージークフリートのテーマが電子ピアノで弾かれていたりして、素晴らしい。ひたすら内省的になっていく感じが心地良い。

フロム・レフト・トゥ・ライト+4

フロム・レフト・トゥ・ライト+4