勝間和代効果か、仕事の方向性が定まっていない国家戦略担当大臣・菅直人がデフレ宣言。岩田規久男日本銀行は信用できるか』(講談社現代新書)によると、新日本銀行法(1998年施行)で規定された日銀の独立性(とくに「目標設定の独立性」)には問題があり、適切なガバナンスが欠如していることは明白であって、この展開はきわめて喜ばしいものと思われる。「狂乱物価」ショックのせいか、日銀はゼロインフレ政策を頑なに墨守し正統派金融政策を顧みないばかりか、日銀の独立性を錦の御旗に「総合判断」という言葉を隠れ蓑にして結果責任を曖昧にしている。新日銀法は、広田弘毅内閣時の軍部大臣現役武官制復活のような趣きがある。経済政策が経済政策として論じられず、政治的次元で誘導されていくことは、デモクラシーの未成熟(未定着)の一側面であって、権限には責任をセットで付随させる必要があるだろう。
あとこの本には、日銀総裁が東大法学部の首席級から選ばれることのおかしさが指摘されているのだが、東大法学部の首席だから偉いみたいな、東大法学部的発想自体が、致命的に頭が悪いように思えて仕方がない(しかもそういうのは確実に存在しているような気がする)。鶴見俊輔はもしかしたら正しいかもしれない。

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)

日本銀行は信用できるか (講談社現代新書)