ミケランジェロ・アントニオーニ『夜』(1960)

LA NOTTE (121分・35mm・白黒) 1962年11月日本公開。作家の夫ジョヴァンニ(マストロヤンニ)と何不自由なく暮らす妻リディア(モロー)。妻はある夜、親密だった夫の親友(ヴィッキ)の死と夫の浮気を立て続けに知ることとなる。音楽はジャズの鬼才ジョルジョ・ガスリーニが手がけている。1961年のベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品。
’60(イタリア)(監)(原)(脚)ミケランジェロ・アントニオーニ(原)(脚)エンニオ・フライヤーノ、アントニオ・グエッラ(撮)ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ(美)ピエロ・ズッフィ(音)ジョルジョ・ガスリーニ(出)ジャンヌ・モローマルチェロ・マストロヤンニモニカ・ヴィッティ、ベルンハルト・ヴィッキ、ジョルノ・ネグロ、ロージ・スッツァクラーティ (FC)

高層ビルのエレベーターが下降して、開発が進む街が一望され、病院でモルヒネ注射をうたれる男の病室に、主人公の夫婦がやってくる。夫は文筆家で、病人とネガティブ会話を交わす。そこにかわいくてギャルっぽい看護婦がワインを運んでくる。母親もやってくる。夫が病室を出てエレベーターに乗ろうとすると、さっきもいた変な女が「マッチをくれ」といって夫を誘惑する。夫は妻が先に帰ったのを良いことに変な女の病室に誘い込まれるが、女は裸になってベッドに横たわり、夫は女の上に乗りかかると、看護婦がやってきて女を激しく折檻しはじめる。夫婦は家に帰るが、妻はふたたび外出して、荒涼とした郊外のある場所で、若者の喧嘩を止めてアブナイ目にあったり、ロケット噴射を見たりする。夫は自宅の暗い部屋で眠っている。
その後、しばらく(自分の)記憶が途絶える。
(目を覚ますと)妻がバーに出かけ、ダンサーが変な踊りをしている。その後、夫婦は夜中のパーティーに出かけ、ジャズの生演奏が流れるなか乱痴気騒ぎが繰り広げられる。突然、雨がふってきてみんなは濡れてしまい、破れかぶれになった紳士淑女たちはプールに飛び込みはじめる。妻も飛び込もうとするが、それをある紳士が制止し、二人はクルマで外出し、良い雰囲気になる。しかし決定的な所までにはいたらない。一方、夫も別の若い女をくどき始める。しかし結局夫婦はそれぞれパーティー会場で遭遇することになり、気まずくなって、朝を迎える。朝の気怠い散歩での会話で、二人は「愛していないといって」と言いながら、愛しはじめる。
難しい映画だったが、画は綺麗。