小津安二郎『宗方姉妹』(1950)

(112分・35mm・白黒)死期を悟った父、おとなしく忍耐強い姉・節子と勝ち気な妹・満里子、姉を疑う病弱な夫と昔の恋人、その青年に思いを寄せる未亡人といった多彩な人間関係が描かれている。絹代は、不機嫌な夫を大事にしながらも、昔の恋人への想いを断ち切れずにいる古風な女を演じている。
’50(新東宝)宗方節子(監)(脚)小津安二郎(原)大佛次郎(脚)野田高梧(撮)小原讓治(美)下河原友雄(音)齋藤一郎(出)高峰秀子上原謙高杉早苗笠智衆山村聰、堀雄二、河村黎吉、齋藤達雄、藤原釜足坪内美子一の宮あつ子、堀越節子、千石規子(FC)

小津映画のイメージとはちょっと違うよね。高峰秀子田中絹代って時点で。山村聰が演じたダメ夫キャラもまるで渋谷実みたい。DV夫って。戦後すぐの時代思潮に小津も影響されたのかも。溝口もこの時期、おかしくなってたし。役柄のせいもあって、上原謙のイメージは過去最高だった。
小津映画についての先入観を外すと、高峰秀子がやっぱり素晴らしい。田中絹代上原謙の過去の日記を寸劇風に語る演技が超かわいい。舌を出すクセを笠智衆がからかうテンポは小津風。よくわからない映画だったけど、高峰秀子の気の強い娘っぷりが魅力たっぷりであった。