ジョナサン・デミ『レイチェルの結婚』(2008)

RACHEL GETTING MARRIED 1時間52分 出演: アン・ハサウェイローズマリー・デウィット/ビル・アーウィンデブラ・ウィンガー http://www.sonypictures.jp/movies/rachelgettingmarried/
バックマン家の長女レイチェルの結婚式当日までの3日間。一家に起こった過去の悲劇のため、今もつづく不協和音、それでも切れない家族の絆を「今まで作られた中で一番美しいホームビデオ」を目指し、ジョナサン・デミ監督がリハーサルなしで撮った家族の肖像。(GH)

アン・ハサウェイが“マンモスらりピー”トラウマ・パンク系ゴスロリ?)女子を演じる。プラダを脱いだボーイッシュな悪魔もかわいらしいが、映画のほうは相当陰鬱。姉の結婚式に家族のトラウマが表面化して大騒ぎになるが、イベントの躁鬱状態のなかで素に返るいたたまれなさは、見ていて本当にいたたまれない。よく分かるだけにほとんど不快。家族のリアルな病理は「まあこんなもんだよな」としか個人的には思えないので(涙)目覚ましい発見があるわけではないが、姉レイチェルの正義のヒロインぶった憎たらしさは強烈で(不安定な自己愛気質と他罰的な欲求不満の解消)、こういう神経質なメンヘル体質だったら「黒人+オタク」のお婿さんは最強だよな、と変なところに感心した。ボルトも凄いし、これからは黒人の時代かも。「愛されることを望むよりも、愛することを望むという父の言葉……」、わかってたらさっさとそうしろよ、とも思う。