クリストファー・ノーラン『バットマン ビギンズ』(2005)

BATMAN BEGINS 140分 シネスコ・SR 監督・脚本 クリストファー・ノーラン 原案・脚本 デヴィッド・S・ゴイヤー 出演 クリスチャン・ベールリーアム・ニーソンマイケル・ケインモーガン・フリーマンゲイリー・オールドマン渡辺謙ケイティ・ホームズ
http://wwws.warnerbros.co.jp/movies/batmanbegins/

ブルース・ウェインバットマン)の幼少期のトラウマと、それを乗り越えるためのヒマラヤでの修行、影の集団との決別と戦い。修行の途上、自分の恐怖心を見据え、相手の恐怖心を徹底的に操作する境地にいたることが、世界と自己を支配する方法だと説かれる。が、バットマンは恐怖の支配原理を拒絶。
バットマンの内省的な鬱屈は、映画の退屈さを増している面がつよい。人々は堕落しうる存在であり、そうであるがゆえに法や国家が存在する。しかし法は無法となりうるし、文明は腐敗する。そこで新たな法や秩序をさらに意志することに、どれほどの意味があるのか。無法に対しては無法でもって応酬する(復讐の原理)のが道理に適っており、新たな正義の追求、ゴッサムシティの変革は無駄ではないのか。9・11後のアメリカの混迷を思わされるが(=イラクでいったい何をしようとするのか?)、やはりジョーカーが現れないことには話が始まらない。ゴッサムシティの腐敗に対抗して、人々を結びつける高架鉄道バットマンの父親によって建設されるが、この鉄道がなかなかよい。