あがた森魚『僕は天使ぢゃないよ』(1977)

主演:あがた森魚、斉藤沙稚子、横尾忠則大瀧詠一桃井かおり泉谷しげる鈴木慶一三上寛友部正人岡本喜八
漫画雑誌「ガロ」に連載されていた林静一の「赤色エレジー」を映画化。漫画家志望のイラストレーター・一郎は、恋人の幸子と四畳半のアパートで同棲している。明けても暮れても貧乏で、諍いと仲直りを繰り返す若い二人の生活は、やがて親の死、仕事、結婚という現実に追い立てられて…。「愛は愛とて何になる…」。明日への希望を探してもがく若者たちを演じた豪華キャストに注目。(CV)

「四畳半フォーク」の世界がいかにダメかが分かる。政治の季節が終わり、恋人との二人の関係性に閉じこもるミーイズムは、ある種の閉塞と挫折感情を抱え込んでいたにせよ、政治で肯定されない自己愛を、近代ロマンティックラブ・イデオロギーのもとで温存させたにすぎず、その微温的な雰囲気が許せない。ユーミンは正しい。政治のかわりに女に肯定してもらう発想は、マッチョ主義の延長でしかない。