テッド・コッチェフ『ランボー』(1982)

FIRST BLOOD(93分・35mm・カラー)1人v.s.1000人の斗い!’83新春アクション・ビッグ1のクライマックス!
1982年12月日本公開(東宝東和配給)。田舎町にふらりと現れた男が警官の暴行に反抗して山中に逃亡。ついには1000人の警官隊を相手に反撃を始める。シルベスター・スタローンが無敵のベトナム帰還兵を演じ、「ロッキー」に次ぐヒット・シリーズを生んだアクション映画。日本公開時のタイトル”RAMBO”はその後アメリカ本国でも採用されることになった。
'82(アメリカ)(監)テッド・コッチェフ(原)ディヴィッド・マレル(脚)(出)シルベスター・スタローン(脚)マイケル・カゾル、ウイリアム・サックハイム(撮)アンドリュー・ラズロ(音)ジェリー・ゴールドスミス(出)リチャード・クレンナ、ブライアン・ドネイ

特殊部隊グリーン・ベレーで鍛え上げられた、ベトナム戦争の英雄ランボー。高度な文明が戦争を帰結するという逆説、戦争の高度化に伴う戦術的洗練がランボーの獣性を目覚めさせるという逆説が興味深い。ランボーは、ベトナム戦争後の虚脱を生きる青年であり、イノセントなセンチメンタリズムと凶暴なまでのゲリラ戦士的本能とが絶妙に同居している。この共存は奇妙でもなんでもなくて、高度な文明国家の歪みをランボーが一身に受けた結果として、彼は人としてヴァルネラブルであり、戦士として凶暴であるのだ。