廣末哲万『14歳』(2006)

第16回PFFスカラシップ作品(114分・35mm・カラー)「群青いろ」の名で映像ユニットを組んでいる廣末哲万(『さよなら さようなら』で2004年[第26回]準グランプリ受賞)が監督、高橋泉(『ある朝スウプは』で同年グランプリ受賞)が脚本を担当した作品。多感な14歳の満たされない思いや心の傷をリアルに描いている。芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
2006(監)(出)廣末哲万(脚)高橋泉(撮)橋本清明(美)松塚隆史(音)碇英記(出)並木愛枝、染谷将太、小根山悠里香、笠井薫明、夏生さち、椿直、相田美咲、河原実咲、榎本宇伸、香川照之 (FC)

睡眠不足がたたって、ねてしまった。ああ、もったいない。ただ、ちょっと疑問に思ったのは、14歳って、ほんとにこんなにイライラと苦しんでいる存在なのか、ということだ。(1)学校空間的な同調圧力はたしかに存在するが、その圧力は、消費社会の拡大によって相対化され解除されてきている気がする。(2)「子どもにとって大人がどこまでも鈍感な存在である」というイメージも、共通前提の不在による関係性への敏感さが、大人にとっても課題となったことによって、かつてほどリアルではなくなってきた。現代は権威喪失の時代であり、その意味で、思春期の敏感さを特権的に描くことの決定的なズレについて、いろいろ考えないではいられなかった。