ジャン=マルク・ヴァレ『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(2009)

THE YOUNG VICTORIA、イギリス/アメリカ、1時間42分、製作:マーティン・スコセッシ、グレアム・キング、ティム・ヘディントン、セイラ・ファーガシン、脚本:ジュリアン・フェロウズ、撮影: ハーゲン・ボグダンスキー、出演:エミリー・ブラントヴィクトリア女王)、ルパート・フレンドアルバート王子)、ポール・ベタニーミランダ・リチャードソン

ヴィクトリア女王の即位前後からアルバート公との結婚生活までが描かれる。ヴィクトリアの即位をめぐっては、ヴィクトリアの戴冠を支持する国王ウィリアム4世、摂政の立場で実権を握ろうとした母ケント公妃一味(史実とは違うはず。ウィリアム4世とドイツ人のケント公妃が仲が悪かったというのは事実)などの思惑があり、その結婚についても、ベルギー国王で叔父のレオポルト1世とその息子二人(弟がアルバート公)、ウィリアム4世とオランダ国王などの画策があった。政治家勢では、ウェリントン公爵、色男メルバーン首相、保守党のピール首相などが登場する。メルバーンと女王の急接近、寝室女官事件(1839)などのいざこざが、アルバート公との結婚で一掃されるという筋立て(メルバーン役が若すぎるのが難)。時期の絞り方が良いし(クリスタル・パレスが見たかったけど)、スケッチが趣味とか、細かい描写も面白い(アルバート公が銃で撃たれたというのは嘘だろう)。
エミリー・ブラントにはパンク系ゴシック・ロリータみたいなイメージがあったが、案外適役だったのではないか。気が短くてヒステリーもあり、ヒトにすぐ入れ込んでしまう危なっかしさを持ってるところとか。アルバート公も男前で、水嶋ヒロ絢香みたいだった。@渋谷文化村。