「自分は人を見る目はあります」と言い放った人にこの一年で2人出くわしたのだが、この発言はどうも変である。だいたい「自分は人を見る目がある」って、ほとんどのヒトが内心で思っている事だろう。
「自分だけが、他人に優位して、ヒトを見る目に優れている」ということは、事実上ありえるが、それを公言する行為自体、他人の内なる心理への想像力を欠いている。他人の心理にこれだけ鈍感であって、なおかつ他人にたいする評価的視点は確かであるというのはありえるっちゃありえるが歪んでいるし、わざわざ公言するのが得策なこととは思われない。
もちろんこの「歪み」を是正するテクノロジーとして、「自分はヒトを見る目はあります。あなたもデキル人です。私もあなたもデキル人同士ですね」という共犯関係の構築戦略があるが、これはこれでやっぱり気持ち悪いし、「あんたといっしょにお目出度くなれるほど、こちとらお目出度くないんだよ」と思わざるをえない。
要するに、増長の仕方が、簡単すぎるんだな。アホ発言のひとつだろう。