横関英一『江戸の坂 東京の坂』(中公文庫)は、豊富に収録された昭和30年代〜40年代の写真がすばらしい。東京の坂の霊力。名著といえば、大室幹雄『滑稽』(岩波現代文庫)。春秋戦国時代の遊説知識人たちを描いて、スリリングなことこの上ない。孟子に対する、斉の宣王、淳于髠のおちょくり。知識人が本質的に滑稽であることをめぐる悲喜劇。せりか書房カッパブックスの時代との呼応。
数日前に記した「保護」と「自立」の二律背反問題であるが、この「保護」の論理が憲法第19条と抵触する危険を内包することには注意が必要であり、そのような警戒のもとに憲法第26条の本義が正しく現実化されなくてはならない。と、ある本を読んで思った。良書である。