光石富士朗『大阪ハムレット』(2008)

1時間47分 原作 森下裕美 出演 松坂慶子岸部一徳加藤夏希森田直幸久野雅弘本上まなみ間寛平 http://www.osaka-hamlet.jp/
それぞれに悩みを抱える三兄弟と肝っ玉母さん、そして、なぜか亡き父の弟が同居する久保家。ヤンキーの次男は、例えられた「ハムレット」が近所のペットでないことは解決したが、字引片手に「ハムレット」を読み始める……ありのままを受け入れ前向きに生きる一家の、おおらかな人生讃歌!!(GH)

ゴミゴミとした大阪の街にも、人間がひたむきに生きることの美しさが息づいている。この事実が見事に映像化されているだけで、十分すぎるくらい感動的。シンデレラを演じる三男、『ハムレット』を読んで亡き父(間寛平)と対話する二男、恋に一直線の長男。生きていくのは大変だが、それでも人生とstruggleしなければならない。複雑さをまったく感じさせない脚本が素晴らしく、大阪人の笑いのリズムをカッティングに反映させている点もとても良い。何より、小汚いはずの大阪の街に、不思議な美しさを見てとっているところが素晴らしい。加藤夏希もいい。